冷静に、希望を持って

掲示板でお世話になっている先生から書き込みいただきました。

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ATLの死因の一つとして、確かに高カルシウム血症はあります。

お父さんも、Ca 16の状態で高カルシウム血症の治療をしなかったら、6ヶ月どころか、数週間持つかどうかも難しかったと思います。しかし、初診時のCaの値は、ATLの予後因子ではありません。

LDHの方が予後因子ではあります。可溶性IL-2レセプターはどうでしたか?

ただ、以前にも書きましたが、あくまでこれは平均の話ですけれども

>ATLは、白血病リンパ腫の中でももっとも難治性のものの一つです。

>急性型やリンパ腫型は特に予後が悪く50%生存期間はそれぞれ6ヶ月、8ヶ月です。水を差すようですが、まだ油断はできない状態です。

ただ、だからといって強い化学療法を続けてしても、徐々に多剤耐性になってきます。必ずしも強い化学療法がいい成績を上げていないもの事実です。

MDR遺伝子を発現してくるからと考えられています。

年齢にもよりますが、あまり深追いせずに状態のいいときに外来で軽い化学療法を行っていくというのもけして間違った選択ではありません。

通常のリンパ腫の場合は、化学療法が終われば、以後は経過観察で、維持療法は、必要ないのですが、ATLの場合は維持療法としての化学療法は、行う方がよいと思います。


外来での化学療法としては、現在行われているVP-16の投与は、間違っていないと思います。ほかには、MST-16(ペラゾリン)併用も悪くないかもしれません。

また、コホリンの間歇投与も考えられます。

あまり楽観できないとも書きましたが、退院できたということは、寛解には入ったということですよね。もちろん、ATL(リンパ腫型)は、治療成績は、悪いのですがそれでも3割程度が寛解に入り、1割程度の3年生存率はあります。

少ないのも事実ですが、0でないのも事実です。

現実を冷静に見つめること、も必要だし希望を失わないことも必要です。


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