夢の治療法

私は、ミニ移植が夢の治療法と思っていたのかもしれません。そんなときに掲示板の医師の方が説明くださいました。
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ミニ移植は、厳密にいえば国に認められていないというよりは、現時点では、通常の移植に比べて効果のはっきりしない点が問題となります。
移植の前処置を弱め、GVL(移植片対白血病)効果に期待する治療法なので、比較的高齢者や、臓器障害のある方に対して行えるメリットはありますが、GVHD(移植片対宿主病)に関しては、通常の移植と変わらない程度で起こるとされています。(実際そんな感じです)
高齢者(五十歳以上)の移植の場合問題となるのは、GVHDなので(場合によっては急性GVHDで命を落とすこともある)ミニ移植=簡単な移植ではありません。生着のため強く免疫抑制をかけるので、感染に関しても難しい面があると考えます。下でふれた、GVL効果にしても、発現してくるまでには、しばらくの時間がかかることから、リンパ腫型や、急性型ATLの場合はGVL効果のみでは、押さえ込めないと考えます。
ちなみに以前紹介した論文(英語で読みにくいとは思いますが)でも、条件のよい患者さんに移植を行ってそれでも平均17.5ヶ月(range 3.7ヶ月-34.4ヶ月超+).といったところで観察期間中に四名が亡くなっています。決して移植したから必ずよくなるものでないことをご理解ください。もちろん移植した患者さんの中にはウイルス量が減ったり、長期生存されている患者さんもいることから、化学療法のみでは、寛解率三割前後、長期生存一割程度に比べれば十分かけてみる価値のある治療法ではありますが、夢の治療法ではありません。
もう一つの選択としては、治癒を目指さない治療を(QOL治療)選択するという方法もあります。消極的に聞こえるかもしれませんが、外来でできる程度の少量化学療法(減量CHOPやVEPAなどや、たとえば経口薬でVP-16(エトポシド) MST-16(ペラゾリン)を使うとか、N先生のいうDCF(コホリン)もそんなに骨髄抑制は強くないので使えるかもしれません。ステロイドを足したり)もちろんこの程度の治療では、治癒は目指せません。しかし外来で過ごす時間が少しでも長くできるメリットはあります。お父様ともよく相談して、病気と徹底的に闘う方を選ぶのか、もとの病気の性格も考え、弱くつきあい少しでもうちにいることができる時間を長くするのか、考えてみてください。どちらも、間違った選択肢ではありません。
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私は次の文を返信しました。
「ミニ移植についてのご見解をありがとうございました。家族は、やはり自分の都合のいいように解釈してしまうんですよね。実際遠い病院に転院することは現実的でないですし、その代償としてミニ移植の効果をのぞめるわけでもない。選択のひとつとしておぼえておきたいですが、私には本当に難しいことで、理解判断できませんのでもっと勉強していきたいと思います」
もともと糖の状態がよくなかったからか血管がもろくなっているらしく、寝たきりでないのに床ずれができています。床ずれも壊疽ですから、強酸化水をいつもシュッシュッとスプレーで患部にかけてあげるようにしたら、悪化しなくなりました。